☆物語文の「なぜですか。」

  次の短い文を読んでみましょう。

 『 りょうの心は、はずんでいました。
  きょう、体育のときに、とび箱がじょうずにとべて、先生にほめられたのです。』

  さて、問題です。上の文章の1行目に「りょうの心は、はずんでいました。」とありますが、それはなぜですか。

A君の答え → 「はい、それはとび箱がじょうずにとべたからです。」

  確かにその通りです。しかし、もしこれがテストであったなら、あまり良い点はつけてもらえないでしょう。なぜかというと、A君の答えには、りょうの心がはずんだ原因となる「気持ち」が入っていないからです。
  たった2行の短い文ですが、皆さんには、
       「とび箱がじょうずにとべた+先生にほめられた→うれしい」
という連想をはたらかせほしいのです。
  そして、「とび箱がじょうずにとべて、先生にほめられ、
うれしかったから」のように答えてください。

  このように、物語文を読んで『なぜですか。』の問いに答えるときは『出来事』だけでなく、その『出来事』から発生する『気持ち』を必ずつけ加えて下さい。この点が採点上の大きなポイントになります。今まで自信を持って上のA君のように答えた結果、あまり良い評価を得られずがっかりしたことがある人、その原因が少しわかったと思いますので、きょうからさっそく『良い評価がもらえる解答づくり』に挑戦して下さい。
  以下にさまざまな場面での『気持ち』を表すことばを集めてみました。はじめは見ながらでいいです。たくさん練習して無意識のうちに『感情語句』の入った答えが自然に書けるようになって下さい。

感情語句@=前向きの気持ち・明るい気持ち
自分にとって良い出来事が起こったとき →うれしい・喜ぶ・楽しい・ゆかい・おもしろい・おかしい
他人のおかげでよい結果になったとき →感謝する
未来に対して良い結果を待つとき →期待する・願う・祈る・望む・待ち遠しい・楽しみ
予想とは違い悪い結果にならなかったとき →ほっとする・安心する・気が楽になる・解放感を味わう
良い結果が得られたとき →満足する・うれしい
自分の力でよい結果にしたとき →達成感を味わう・充実感を覚える・満足感を味わう
頼れるものがあるとき →安心する・心強い・自信がわく・強気になる
うまくいったときや不安がなくなったとき →緊張がゆるむ・緊張がとける・ほっとする・安心する
こわいが、立ち向かっていこうとするとき →勇気をふるいおこす・自分をはげます
悪いことをした相手に対し優しく接するとき →許す
悪いことをした相手を他の人から守るとき →かばう
意外な出来事がよいことだったとき →感心する
これからどうするか決めたとき →決心する・覚悟を決める・心にちかう
相手やその行動を高く評価するとき →感心する・尊敬する・ほめる・たたえる・うやまう
相手やその行動を特にすばらしく感じたとき →感動する・感激する
相手やその行動を見てあたたかい気持ちになる →ほほえましく思う
相手と比べて自分がすぐれていることを喜ぶ場合 →得意になる・自信を持つ・ほこらしく思う
人からほめられたり感謝されたとき →うれしい・照れる・照れくさい・はずかしい
すぐれた相手を見て自分もそうなりたいと思うとき →うらやましい・うらやむ・尊敬する・あこがれる
弱い立場の人の身になって考えるとき →同情する・あわれむ・はげます・なぐさめる・思いやる
相手の考えや立場に同調するとき →賛成する・共感する・理解する・納得する
立場や意見の違う相手の言うことを聞くとき →(素直に)従う・(しぶしぶ)従う
自分より強い立場の相手と対立するとき →はむかう・たてつく・反発する・はりあう
良いことをしている相手の力になろうとするとき →はげます・力づける・応援する・あたたかく見守る
悪いことをしようとしているのをやめさせようとするとき →さとす・思いとどまらせる・説得する・考え直させる
ものごとに本気で取り組むとき →一生懸命・夢中になる・熱中する・真剣に・はげむ
悪い結果に負けずにがんばるとき →あきらめない・自分自身をはげます・立ち向かう
昔のことを幸せな気持ちで思い出すとき →なつかしい・なつかしむ



感情語句A=後ろ向きの気持ち・暗い気持ち
自分にとって悪いできごとが起こったとき →悲しい・怒る・くやしい・苦しい・つらい・不愉快
他人のせいで悪い結果になったとき →怒る・憎む・うらむ・腹を立てる・いまいましい
未来に対して悪い結果を待つとき →不安・心配・ゆううつになる・気にかかる・おびえる・おそれる
予想に反してよい結果にならなかったとき →残念・ものたりない・がっかりする・落胆する・くいが残る
頼れるものがない場合や居場所がないと感じるとき →心細い・不安・さびしい・弱気になる・自信がなくなる
慣れないことをするときや失敗をおそれているとき →緊張する・あがる
自分の思うようにものごとがはこばないとき →もどかしい・いらだつ・じれったい・あせる・あわてる
危ない目にあいそうな場合や直面したとき →おそれる・こわがる・おびえる・恐怖感
こわくて、何かをすることができないとき →ひるむ・おじけづく・たじろぐ
こわいが、それを周囲に知られないようにするとき →強がる・ごまかす
相手との関係が悪くなりその場に居づらいとき →きまりが悪い・気まずい
その場にいるのがたえられないとき →いたたまれない
悪いことをしてしまったと自覚しているとき →うしろめたい・やましい・気がとがめる・責任を感じる
悪いことをしてしまったとあとになって気にしているとき →後悔する・くやむ・くいる
悪いことをして相手に対してごめんなさいと言いたいとき →申し訳ない・わびる・すまない・謝る
悪いことをして自分はだめなやつだと思っているとき →情けない・はずかしい・自己嫌悪におちいる
悪いことをしてもう二度とやらないぞと思ったとき →反省する・改心する・こりる
悪いことをして代わりに何かしたいと思ったとき →つぐなう・うめあわせをする
悪いことをしたが罪悪感を感じたくないとき →罪の意識から逃れようとする・うしろめたさをまぎらわせる
悪いことをした相手に対し厳しく接するとき →責める・とがめる・こらしめる・いましめる
思いがけない出来事が起こったとき →驚く・びっくりする・あっけにとられる・意外・ぼうぜんとする
意外な出来事が悪いことだったとき →あきれる
予想と違ってたいしたことがなかったとき →ひょうしぬけする
意外な出来事を信じないとき →あやしむ・疑う・不思議に思う
これからどうしてよいか全くわからないとき →途方にくれる・困り果てる・困る
これからどうしようか落ち着いて考えられないとき →あわてる・とまどう・あせる・うろたえる・動揺する
これからどうしようかいくつかの道があるとき →迷う・なやむ・決心がつかない
これからどうしようか決めたがすぐに実行できないとき →ためらう・ふんぎりがつかない
相手やその行動を全く評価しないとき →あきれる・ばかにする・けいべつする・あざける・けなす
相手と比べて自分がすぐれていると思いこむとき →うぬぼれる・思い上がる・調子にのる
すぐれた相手を見て、相手がだめになることを願うとき →ねたむ・ねたましく思う
劣っている自分を発見し、堂々としていられないとき →はずかしい・劣等感を抱く・情けなく思う・ひがむ・みじめ
劣っている自分を発見し、自分を良く見せようとするとき →見栄を張る・虚勢をはる
意見の違う相手に対して、言うことを聞かないとき →逆らう・反発する・反感を抱く・意地を張る・意地になる
自分より強い立場の相手に気に入られようとするとき →こびる・こびを売る・へつらう・ごまをする
相手に悪いことをさせようとするとき →けしかける・そそのかす
ものごとにいい加減に取り組むとき →面倒くさい・あきあきする・うんざりする・わずらわしい
悪い結果に打ちのめされたとき →落ち込む・くじける・やけになる・途方にくれる・やりきれない
自分ではどうにもならず、他の力を借りたいと思うとき →すがる・頼る・あてにする・助けを求める
昔のことをさびしく思い出すとき →感傷的になる・感傷にひたる

★人間の心は複雑です。実際は上で見てきた語句を組み合わせた気持ちであることが多いものです。
     (例)  「喜び+悲しみ」「喜び+さびしさ」「期待+不安」「残念+満足」「悲しい+こらえる」「こわい+強がる」
★「周囲の状況」→「出来事」→「気持ち」 の流れを必ず確認しましょう。
★「気持ちの大きな変化」と「その原因となった出来事」をよく考えましょう。
     (例) 『はじめは〜と思っていたが、〜という出来事を通して、〜と思うようになった。』というように答えます。



☆表情と「気持ち」

  人の気持ちは、表情や態度に表れます。ここでは、どんな表情を見せたとき、人はどんな気持ちになっているのかということを、イラストをまじえて考えてみることにしましょう(イラストの関係で、やや無理がある箇所もありますがご了承ください)。読解問題では、@出来事をつかむ  A出来事に対する表情や態度をさがす  B当事者の心情を表すことばを考える  という手順で考えていき、最後に『@の出来事に対してBのような気持ちになったからAのような表情や態度をとったのだ』という具合にまとめてみると、記述解答も書きやすくなるでしょう。

表情 言い表すことば どんなときの表情か 気持ち(解答に使うことば)
☆目を皿のようにする
☆目を丸くする
☆鳩が豆鉄砲を食う
など
@予期せぬことが起こる
A予想がはずれる
B目の前の出来事が信じがたい
など
おどろく、びっくりする、あっけにとられる、ぼうぜんとする
など
  
☆目をつむる
☆目をそむける
☆目をおおう
☆口をゆがめる
など
@突然、危険にさらされる
A突然、悪いことに出くわす
B予想が悪い結果になる
C見たくないものを見てしまう
など
おどろく、びっくりする、おそれる、おびえる
など
  
☆苦虫をかみつぶす
☆にらみつける
など
@相手の言動をバカにする
A相手の言動に反発する
など
→あきれる、けなす
→怒る、憎む
など
☆目尻が下がる
☆表情がゆるむ
☆口元がゆるむ
など
@不安材料がなくなる
A相手の言動でよい気分になる
B自分がすぐれていると思い込む
C自分の行動でよい気分になる
など
→ほっとする、安心する
→うれしい、満足する
→うぬぼれる、思い上がる
→満足する
など
☆横目で見る
☆視線をむける
など
@相手をバカにする
A相手を非難する
B相手をうらやむ
など
→あざける、けなす
→とがめる、責める
→うらやむ、ねたむ
など
☆視線をそらす
☆まぶたを閉じる
☆うつむく
☆目をそむける
など
@悪いことをしたと自覚する
Aその場から逃れたい気分になる
B悪い結果を目の当たりにする
など
→反省する、申し訳なく思う
→気まずい、いたたまれない
→後悔する、がっかりする
など
☆ぷいと横を向く
☆あらぬところをにらむ
☆目をつり上げる
☆口をへの字にまげる
など
@相手の言動に納得できない
A相手の言動を責める
B自分の主張が通らない
など
→腹が立つ、不愉快
→怒る、しかる、
→いらだつ、じれったい
など
☆わらう
☆口元がゆるむ
☆笑みがこぼれる
など
@出来事に思わずわらってしまう
A良い結果になる、期待できる
B皆の前で失敗する
など
→楽しい、愉快だ、おもしろい
→うれしい、満足する
→はずかしさを笑ってごまかす
など
☆泣く
☆涙を流す
☆目に涙をためる
☆目頭が熱くなる
など
@(身体・心の)耐え難い痛み
A悪い出来事に直面する
Bすばらしい出来事が起こる
C物事が思い通りにいかない
など
→苦痛をこらえきれない
→悲しい、つらい
→感動する、感激する
→くやしい、みじめ、情けない
など
☆思わず舌を出す
☆アカンベーをする
など
@『しまった』というとき
A相手の言動に反発する
など
→照れる、ごまかす
→さからう、意地をはる